荻須先生の話

何か急に思い出したので、唐突にも高校時代にお世話になった先生のことを書く。

荻須先生は高3のとき赴任して来た国語の先生で、当時で50歳ぐらいの女性だった。
といっても他の学年を受け持ってたので基本的に接点はない。

最初にピンと来たのは学校で配られたプリントだった。赴任した先生の自己紹介が列記されてて、基本的には流して読んでしまうところだが、荻須先生はそこに好きな音楽のことを書いていた。
『ロックが好きです。バッファロードーターetc』その一文が目に留まった。

当時バッファロードーターのことなど全く知らなかったけど、「あ、音楽好きなんやこの人」と思った。が、それだけで、荻須先生のことに興味を持つでもなく終わった。

半年ほどして、一度だけ荻須先生の授業を受ける機会があった。そのとき自分は一番前の席で授業を受けていた。当時の高校生は、通学鞄とは別に、プリントやノートを入れるプラスチックのケース(名前わからん)を持ち歩いており、そこに何かしらのステッカーを貼って個性を演出していた。自分は人間プログラム(THE BACK HORN)のジャケットのステッカーを貼っていた。

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こういうやつ

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これ貼ってた(今あらためてみると怖いな)

 

終業のベルが鳴って皆が教室から出ていくそのとき、荻須先生に声をかけられた。「バックホーン好きなの?」

50歳(推定)の大人の口から「バックホーン」という単語が出てきて大層驚いたが、その場ではそんなに話が盛り上がった記憶はない。けれども先生が他にどんな音楽聴いてるんだろうという興味が沸々と湧き出した瞬間であった。

センター試験が近付いた頃、国語でわからないことがあり職員室を訪ねた。いつも質問していた先生が不在だったので、荻須先生に声をかけ、質問した。疑問が解決したら音楽のことが聞きたくなり、あらためて尋ねた。先生どんな音楽好きなんですか。先生はいろんな話をしてくれた。

フジロックに行った帰りに入ったレストランでTOSHI-LOW夫妻と相席になった話がすごく面白かった。最近好きなのはボアダムスでこの前にライブ見たときはメンバーがドラムしかいなかった、スーパーアーというアルバムがかっこいい、という話も興味深かった。自分の好きなもののことをめちゃくちゃいっぱい知ってる人に出会えたことが嬉しかったのをよく覚えている。先生、ぼく京都の大学行くつもりなんです。ほら、くるりとか、つじあやのとか、YOGURT-poohとか、京都の人じゃないですか。

それでもその後、荻須先生とはほとんど話をすることなく卒業した。多分大学受験に頭がいっぱいだったんだろうが、もったいなかったなと思う。

2年後、京都のCD屋でボアダムスのVISION CREATION NEW SUNを見つけたときに荻須先生のことを思い出して買ってみた。ステレオから流れるSuisidal Cendenciesはそれまでの音楽観をブッ飛ばし、そこからボアダムスROVO、Soft等トライバルへの興味を膨らませるようになった。この時、荻須先生もしかしてめちゃくちゃ面白い人だったのでは、と思うようになった。

さらに1年後、初めてフジロックに行った時、ホワイトステージでBRAHMANを待ってる間また荻須先生のことを思い出した。もしかして先生もどっかにいるんじゃないだろうか。今会えたらめちゃくちゃ音楽の話したいんだけど。

そんな感じで10年ぐらい経ったが、今でもたまに先生のことを思い出す。先生、最近どんなん聴いてますか。ぼく今度コーネリアス観に行きますよ。次会えたらまたあの時みたいな話したいっす。

 

無理なんだろうけど、もう一回会いたい。

 

荻須先生きっかけで知った大名盤

 

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